ススが出るキャンドルの修復
- Life with Lights
- 2016年9月24日
- 読了時間: 4分
「うちにあるキャンドルからススが出て使いたくない」
よく聞くお悩みです。
ススが出る原因は3つ。
①風のある状況下で灯す ②芯のトリミングをしていない(芯が長い) ③芯のサイズとキャンドルの直径が合っていない
③は作り手の問題ですが、①と②は使う側のメンテナンスで防げます。
海外でキャンドルを日常的に利用する方は「キャンドルはメンテナンスが必要」という意識がありますが、キャンドル文化のない日本では、「電気と同じようにメンテナンスは必要ない」と思われる方が多い気がします。
「トリミングされていますか?」と聞くと、「必要なんですか?」と驚かれる方がほとんどです。
ちなみに、炎が燃えるしくみとススが出るしくみは下のほうに紹介しました。 これは興味のある方だけご覧ください。(ぜひ読んで欲しいです!)
さて、今日は②芯のトリミングをしていない(芯が長い)ためススが出るキャンドルの修復方法をご案内します。
ご覧ください。

芯のメンテナンスが正しくされていなかったキャンドルです。
瓶にススがびっちりついてしまっていますね。
芯をよくご覧ください。

丸まっているのがお分かりでしょうか。
ほとんどの芯は燃焼すると先が90度に折れ曲がり、炎の外炎(1400度)で燃え尽き、トリミングをしなくても芯が自動でカットされ、ススが出にくくなるように設計されています。
が、芯のメンテナンスを怠ると、長時間灯したときに先が折れ曲がって折り重なってしまうことがあります。
特に植物性(ソイワックス)や動物性(蜜蝋)の原料で作られたキャンドルによく起こります。
こうなると、炎の大きさが作り手の意図するそれよりも大きくなり、ススが出ます。
せっかくのお気に入りのキャンドル。本来の炎の大きさに修復して息を吹き返しましょう!
【芯が丸まってしまったキャンドルの修復】
準備するもの

ティッシュ・キャンドルトリマーやはさみなど芯を切る道具・あれば軍手
まず、ススのついた瓶の部分をティッシュでふき取ります。


すこし力を入れて拭けば簡単にふき取れます。しつこい場合はドライヤーで温めてふき取ります。
次に芯に火をつけます。

明らかに炎が大きく、ススが出ていますね。

画像のように折り重なった先がみえるぐらいロウが溶けたら火を消して芯を切ります。


6mm~1cmぐらいの長さになるように切ります。

適正な炎の大きさになりました。
(今回はグラス入りのキャンドルのご紹介でしたが、ピラーキャンドルなども同様に芯が丸まってしまった場合、お試しください)
今回ご紹介したように、ススがついてしまったキャンドルをお掃除するのは大変な手間ですし、外観を損ないますので、こうなってしまわないよう、
「毎回灯す前に芯を6mm~1cmほどにカットしてから火を灯す」
のメンテナンスを心がけてキャンドルをお楽しみください。
最後に。
「世話のいらないススの出ないキャンドルはないの?」と思われがちですが、残念ながらありません。
炭素含有量の少ないキャンドル(大豆ワックスなど自然由来のもの)はススが出にくいですが、やはり先述のとおり、風のある状況下、メンテナンスを怠ると例外なくススが出てしまいます。
キャンドルに機能性はありません。
お世話も含めて情緒を楽しむのもキャンドルの一興だと私は思います。
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▼炎が燃えるしくみとススが出るしくみ
芯が燃える熱で溶けたロウが芯から吸い上げられ、炎の高い温度でロウが揮発します。 揮発したロウが芯の周りの酸素と反応し炎となります。 それを繰り返すために火が消えずに燃え続けます。
「揮発したロウの量(炎の多きさ)」・「酸素の量」のバランスが保たれている状態が「完全燃焼」です。
しかし、そのバランスが保たれていないと「不完全燃焼」を起こしススが出ます。
①風のある状況下では、芯の周りの「酸素」が少なくなり、不完全燃焼を起こします。 ②芯が長いと炎は大きくなります。炎が大きくなるにつれ吸い上げるロウが多くなりますが、そのロウの量に対して酸素が足りず、不完全燃焼を起こします。
ですので、キャンドル屋は使い終わるまで「完全燃焼」が続くよう、あまたある芯の種類とサイズから、適切な芯を選んでいるんですよ!
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